飲酒

東晉　陶潛

其三

道喪向千載 道喪はれて千載に向(なんなん)とし

人人惜其情 人人其の情を惜む

有酒不肯飮 酒有るも肯へて飮まず

但顧世間名 但だ世間の名を顧(かへりみ)る

所以貴我身 我が身を貴ぶ所以は

豈不在一生 豈に一生に在らずや

一生復能幾 一生復た能く幾(いくばく)ぞ

倏如流電驚 倏(はや)きこと流電の驚かすが如し

鼎鼎百年内 鼎鼎たり百年の内

持此欲何成 此れを持して何をか成さんと欲する

飲酒二十首中　序　其一　其二　其三　其四　其五　其六　其七　其八　其九　其十

其十一　其十二　其十三　其十四　其十五　其十六　其十七　其十八　其十九　其二十

目次　帰園田居、飲酒、擬挽歌詩、歸去來兮辭、桃花源記